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今月の草一郎の句

燕(つばくろ)や鱗のやうな街の屋根

栗の木に毬(いが)残りゐる彼岸かな

春雷や湯宿に江戸の大纏(おほまとひ)

山門に古き潜(くぐ)り戸実朝忌

春風や声震はせて読む童話

火にくべて枝きゆうと鳴るおぼろかな

行灯(あんどん)の闇うつくしや雛の日

早雲の地の囀(さへづ)りを聞きにけり

遅き日の廊下の先の暗さかな

ずれてゐる井戸の閂(くわんぬき)あたたかし

震災の日の蘖(ひこばえ)の日向かな

透きとほる飴雲雀野(ひばりの)の子にもらふ

またも読む漱石の「猫」春炬燵(はるごたつ)

春の雨広場を閉ざす鉄鎖(てつぐさり)

門川(かどかは)を堰(せ)く板残る土筆(つくし)かな

里山の頂けむる野焼かな